MITメディアラボについて書かれた本です。ディズニー映画「ベイマックス」思い出しました。

“Big Hero 6” (L-R) HIRO and BAYMAX. (c)2014 Disney. All Rights Reserved.
サンフランソウキョウ工科大学で体と心を癒すロボットである「ベイマックス」が生まれたように、MITメディアラボでも人間の力を引き出すイノベーションが多く生まれてきています。
テクノロジーが、きちんと人間のために用いられる、そんな世界が描かれています。
例えば、「重度の身体障害を抱えた人々が、『ハイパースコア』というソフトウェア・ツールを使って音楽を作曲できるようにするための赤外線頭部追跡装置」(p.48)を用いて、創造力が解き放たれた人がいます。30年間、ずっと病院で、医療・介護サービスを受けていた全身不随の男が、クリエイターになれたのです。
2008年のTEDのビデオです。音楽家の演奏に心動かされる聴衆の姿がわかります。
MITメディアラボの所長を務めた著者は、「テクノロジーは人々の情報消費、ショッピング、交流のスタイルは変えたものの、気候変動、貧困、慢性病など、人間や社会が抱える真の問題を解決していなかった」(p.45)と25年のコンピューター業界での経験を振り返りながら、
「2045年には、地球の人口は90億に達する。その一人ひとりが、何らかの才能と障害を抱えているだろう。あなたが本書で読んできたような未来のテクノロジーが、その一人ひとりの内なる創造力を解き放ったとしたら、何が起こるだろう?」(p.313)
と投げかけます。
テクノロジーの人間化に向けて、「障害」とは何か?問題を抱えているのは、人間ではなくテクノロジーであり、人間の創造力を開放するためのテクノロジーの活用の仕方について、着想し、形にし、ビジネスにしていく過程を様々な切り口で描いています。
現代の技術がどこまで進化しているのか知りたい人、テクノロジーで社会課題を解決したい人、アイディアからどのようにしてビジネスになるのか知りたい人、MITメディアラボのような場を設計したい人にとって参考になる本です。
『MITメディアラボ―魔法のイノベーション・パワー 』
フランク モス 著
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