ヘルスケア・ハッカソン in 宮城県丸森町!に参加してきました。すごく刺激的でした。町長・地域の活動家・医師・看護師・ビジネス・学生・幼児に赤ん坊や猫と様々な分野(?!)の人(?!)たちが入り乱れながら、1泊2日で、「地域医療と遠隔医療」をテーマにした新しいサービス創りに取り組みました。
このハッカソンでは、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の田中由香里先生と丸森町でコワーキングスペースを運営するMAKOTOの佐藤さんには、大変お世話になりました。
僕も講師として呼んでいただき、セッションを提供しました。思いのほか好評だったようなので、少し、エッセンスをこちらでも紹介したいと思います。
このハッカソン、1日目に、色々な刺激が入っていましたので、2日目の朝の講義担当だった私は、一旦今やっていることを手放して、スイッチを入れなおしていただくために、自然の中に入るセッションをしました。
元ネタは、『アイデアのつくり方』という名著です。この本に書かれているアイデアの作られる第三段階を体験していただくことです。
アイデアの作られる全過程ないし方法である。
- 第一 資料集め 諸君の当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と。
- 第二 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること。
- 第三 孵化段階。意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる
- 第四 アイデアの実際上の誕生。〈ユーレカ!分かった!みつけた!〉という段階。そして
- 第五 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階
p.54 『アイデアのつくり方』
ジェームス W.ヤング (著), 竹内 均 (解説), 今井 茂雄 (翻訳)
TBSブリタニカ
ちょうど、第一段階から第二段階は、意識的な活動なのですが、第三段階と第四段階は無意識の活動になります。ガラッと、頭の使い方が変わります。
従い、第一段階と第二段階のモードで、根を詰めて活動をし続けると、行き詰るんですね。
僕自身の体験では、小さな子会社の営業責任者をしていた時に、社長から、会社の存続について問われた時に、どう言うか迷って、頭の中で無限ループしたことがあります。継続すれば、出口の見えない消耗戦を続けることになる。閉鎖すれば、今まで、一緒にやってきた仲間を、そして自分自身の過去の言葉を裏切る事になる。じゃぁ、続けるのか?勝算なき戦いに意味があるのか?じゃぁ、やめるのか。。。様々な角度から考えようとした。が、いつも同じループに戻ってくる。この無限ループに立った時に、何をどう考えるべきなのか?
こうした意識的な活動をし続けると、新しいアイデアが生まれ落ちなくなってしまいます。同じように、ハッカソンの中でも考えすぎて迷っている方がいるかと思いまして、ご紹介させていただきました。
本の中では、別の形で、こう書かれています。
この段階において問題を意識の外に移し、無意識の創造過程を刺激するのに役立つことで諸君にできることが一つだけある。
諸君はシャーロック・ホームズがいつも一つの事件の最中に捜査を中止し、ワトソンを音楽会にひっぱりだしたやり方を記憶されているにちがいない。実際家で融通のきかないワトソンにとってはこれはひどくいらだたしい手順であった。しかしコナン・ドイルはすぐれた創作家で創造過程というものがどんなものかをよく知っていたのである。
だから、アイデア作成のこの第三段階に達したら、問題を完全に放棄して何でもいいから自分の創造力や感情を刺激するものに諸君の心を移すこと。音楽を聴いたり、劇場や映画に出かけたり、詩や探偵小説を読んだりすることである。
p.47-48 同上
やれることをやったら、後は、忘れることしかない。
このアイデア作りの意識転換を知っていると、気が楽になります。根を詰め過ぎることが仕事じゃないんですね。
今から考えると、無限ループに入って、夜遅くまで働いていた昔の自分に、この話を教えてやりたいと、思います。お前の好きなミュージカルを見に行け、豊かな大自然に身を置け、と。
当時の僕は、無理やり答えを絞り出して、決断をしました。その決断は、当時のベストだったと思っています。間違ったとか、後悔は、全くないながら、意識転換をしていたら、別の答えがでたかも知れません。
ということで、冒頭のセッションでは、ハッカソンで考えていることを横に置いて丸森の自然豊かな場所に、参加者のみなさんに身を浸していただきました。
後から地域の人から耳打ちされたのは、その場所は、不動尊公園といって、疲れた時に行くような場所だった、とのこと。素晴らしい場所に恵まれました。
参加した方からも、ちょっと、違った場になって、新鮮だったとか、一生使える技をもらえた、とか素晴らしかったとお声掛けいただけて嬉しかったです。
ということで、根を詰めて行き詰っている方へ。ちょっと、目の前の問題を手放して、自然に入ってみませんか?答えに近づけるかもしれません。
丸森の隣町の山元町で、2泊3日のワークショップ(大学生向けに8月22-24日でやります)やっています。都会から2泊3日くらいで離れると、素敵な考えが浮かんでくると思います。