GRAは、農業生産法人株式会社GRA(グループ内では「Inc(インク)」と呼ぶ)とNPO法人GRA(同じく「NPO」と呼ぶ)の2つの法人などで立ち上がってきた。
同じ目的に対して、全く違うアプローチをとることができる。その分、マネジメント・コストもかかるのだけど。
それでも、そのコスト以上のリターンが「成功」に対してもあると思う。
以下の記事を読むと、その可能性を改めて強く感じた。
ここで論文の中核概念となっている「知的資本」とは、ベンチャー企業の社長本人の個人的資質、人脈、他企業との連携関係のことですね。
分析の結果、ベンチャー企業の成功を決める要因は、
1.ベンチャー企業経営者の「固い決意」
2.ベンチャー企業が初期にどの程度の良好な評判を、「周囲」から勝ち取ることができるか?
3.ベンチャー企業の創業を支援するインフォーマルグループ(非公式の集団)が発達しているか、どうか?
などであることがわかりました。
これらの要因を統合すると、コラボレーションを作っていく力と言えそう。だって、評判を作って、インフォーマルグループを創り出す力は、コラボレーション力と言うしかない。もちろんそこの中心には、リーダーの強い想いがある。
そして、成功するNPOが主に用いるのは、このコラボレーション力。NPOの用いる力は、法律や規則という強制力でも経済力というインセンティブでもない。なぜって、法律や規制による強制力は政府の得意とするところであり、経済力は企業のとくいとするところだから。
だからこそ、NPOには、インフォーマルグループを形成するためのノウハウが山のように詰っている。お金や権力で動くのではなく、何か、一人ひとりの考え方や夢をエネルギーの源泉としている。そのために対話を重視する。相互の利益を重視する。去る者追わず。
僕自身もいくつかのNPOを支援しているが、人をうまく巻き込めない代表を支援することには、二の足を踏む。逆に、人をうまく巻き込める代表を支援することは、容易になる。
GRAが作り出してきたIncとNPOの複合経営という形(『甘酸っぱい経営』を参照ください)が、ベンチャー企業の成功を創り出す一つの重要な示唆を与えてくれていると思う。グロービスの初期も多くの「手弁当」で協力してくれる方々がいた。ライフネット生命も、社内に無い専門的な知識を、外に多く聞きに行っていた。
リーンスタートアップとか、マーケットプロダクトフィットとか、成長の痛みとか、テクノロジーの動向とか、と同様に、コラボレーションについて理解しておくことが、ベンチャーを目指す人の成功確率を上げてくれると思う。
コラボレーションの力を上げたいのであれば、ぜひNPOでご自身の力を生かして見てほしい。パラレルキャリアで、実行可能だ。今までの仕事の仕方と違うからこそ、新しい筋力をつけることができるはず。